1495年、小田原城の大森氏を攻略してここの城主となった

 
北条早雲は、以後96年間、五代にわたって関東一円を治め
 

ました。この北条氏の息女に、佐保姫という姫君がいました。

 
愛らしく美しい姫は、より美しくなりたいと化粧用に綺麗な
 
良い水を近習に探すよう命じました。小田原近郊の水は、
 
綺麗で冷たく質の良いことで知られていましたが、
 
その中でもさらに良いものをと求めたのです。
 
   
家臣は、八方手を尽くして探したところ、
箱根山の中腹からこんこんと湧き出ている
綺麗な清水を見つけました。この水は、箱根大平台という
ひなびた集落の里道沿いの地下から絶えず吹き上げており、
どんな干ばつでも、年中絶えたことがありません。

姫は、早速この水を化粧用に朝な夕なに使ったところ、肌に優しく顔もつややかにいっそう美しくなったといいます。

以後、これに習って北条家代々の姫君たちも化粧の水として愛用したので、里人はこの水を「姫の水」と呼ぶようになりました。
また一説には、秀吉が小田原攻めの時、中将姫の化粧水として使用したとも言われています。(安藤正平著「箱根の民話と伝説」より)